peicozy's blog

マラソン、トライアスロン、ブルベの完走記と、日々思うこと

珠洲トライアスロン完走記 2017

珠洲大会は2010年11年12年の3年連続で出場した。
そのあと、海外赴任になり欠場。
帰国してから2016年に出場。そして今年2017年、5回目の出場だ。


ジュニアに出場する、小5の末娘と2人旅だった。
東京から珠洲への長時間ドライブも慣れてきた。


2017年8月27日、日曜日。
珠洲Aはスイム2.5km、バイク105km、ラン23km。
スタートは午前7時。


昨日、小5の娘はジュニア大会に出場した。早朝から連れてまわるわけにいかず、兄弟に預けて宿代わりの親戚の家を出た。ジュニア大会には、自分の娘の他、兄弟の子どもたちも参加した。姉の子が小4、自分の末娘が小5、兄の子が小6なのだ。トライアスロンに兄弟で参加するのはよくあるそうだが、兄弟の子たちが一斉に参加するのはまれなのではないだろうか?


レースを終えてぐっすり眠っている子どもたちを置いて、レース会場に向かった。


会場には5時半過ぎに到着。駐車場は7割がた埋まっているが、芝生エリアがまだ空いている。駐車場内の誘導が無いので、芝生エリアへの入り口がわからず、アスファルトエリアが混雑していた。


トイレ、ナンバリング、朝食、トイレ、着替え、トランジット準備等々、淡々とすごす。
ウェットを着てスイムチェックイン。試泳しながらウェットスーツに海水を十分くぐらせておく。気持ちいい、穏やかな空だ。


■スイム
7時スタート。自分は今年も第3ウェーブを選ぶ。5分間隔でスタートする。
スイムキャップの色は、ウェーブ毎に、紺、黄、白と色分けされている。今年も白だ。毎年白のキャップが土産代わりになっている。


あっというまに第一ウェーブの紺キャップははるか彼方を泳いでいる。
第二ウェーブの黄色も見送り、いよいよ第3ウェーブだ。


7時10分。スタート。ゆっくり歩きながら海へ入る。


試泳の後、額に乗せていたゴーグルは曇ってる。ひんやり冷たい水に浸して曇りをとり再びかける。透き通る海。気持ちいい。


少し混んでいる中で、第一ブイに到達。直線で300mほどだ。
ここから選手がばらけてくる。まわりにぶつかる人がいなくて泳ぎやすい。かといって完全に独りではなく、方向を確かめられる範囲に、水面を飛んでいるような選手が視界に入る。透明度が高い海は泳ぎやすい。


左手首のガーミンが振動する。1000m通過。17分と少しだ。
速い。普段の1000mは25分近くかかるが今日は調子がいいのか?疲れも無い、この調子ならあっという間にスイムパートが終わるんじゃないか。昨年出場した時に、600mほど泳いだ後、とても泳ぎきれる気がしなくてリタイアを考えたこともあったけど、なんなんだこの速いスイムは。スイムは2回しか練習しなかったけど、その程度でいいのかもな。


あまりにも楽観しすぎた往路だった。この後のことを何も知らない自分だった。


■折り返し
オレンジのブイを右手に見ながら、ロープを乗り越える。折り返しだ。
折り返した先は、なんだか選手だらけだ。さっきまでスイスイと周囲にぶつかることもなく泳いでいたのになんなのだこの混雑は、、、、。


さて、コースロープを右手に見ながら泳ぎだす。
あれ、前に進めない。
なんでだろ、前に進めない。


スタート前に、レースコンディションについてアナウンスが流れてたのを思い出す。


「本日の水温は27度。潮流は、海に向かって右に20メートル毎分です、、、、」


20メートル毎分の潮。例えば100メートルを1分で泳ぐ実力があっても20メートルは押し戻されるということだ。


潮の流れが混雑の原因なのだ。選手は皆必死に潮に逆らって泳いでいるけれど前に進めなくなっているのだ。


時折、平泳ぎに切り替える。混雑しているので、平泳ぎのキックで何かにあたる。後ろを泳いでいる選手の腕だろうか?申し訳ない。でも、手足を動かしていないとまずい。じっとしていると毎分20メートルで逆戻しなのだ。疲れて動きを止めれば、残りの距離がじわじわと増えていく。なんて恐ろしいスイムなのか、、、


Bタイプの折り返しのブイがが右手の先に見える。そうだ、まずは目先の目標をまで泳ごう。プロジェクトだって、短期目標の繰り返しじゃないか。


時計を見る。1600メートル地点だ。よし、泳ぐぞ。
しばらく進んだ。再び時計を見る


1600メートル


絶望感に襲われる。
これは、流れる水槽の中で泳いでるのか。ずっと、ずっと同じ場所で、無限スイムになっているんじゃないだろうか。


あきらめた。
タイムアップでもいい。


このままがむしゃらに腕を回していたらへとへとになってしまう。
のんびり行こうじゃないか。


息があがらないようにいこう。これは長期戦だ。
ちょっとだるくなってきた。平泳ぎとクロールを半々くらいにして、気分を変えながら泳ぐ。しだいにまた腕が動くようになってきた。少しずつでいい、進もう。


■海岸へ
あきらめの境地がよかったのか、少しは進んでいたようだ。
コースは左に折れ、海岸へ向かう進路となった。


左手のコースロープを目印に進む。


後ろを泳ぐ選手がずっと脚にからむ。クロールでも平泳ぎでも、左足に絡みついてくる。こんなスイム終盤に、なんでぴったりくっついて泳いでいるのだ?と泳ぎながら左後ろを振り返る。


誰も居なかった。


誰かがくっついて泳いでいると思っていたのは、ただ、潮に流されてコースロープが左足に当たっているだけだった。コースロープと平行して泳げないのだ。常にロープから離れる方向で斜めに進んでいないと、脚がぶつかってしまう。なんなのだ、、


スタートしたのはずいぶん昔のようだ。今日は遠泳競技だったっけ?
浅瀬になり、海底に足をつける。
体はぐったり重い。


腕時計はスタートから1時間29分になろうとしている
制限時間はどれくらいだったっけ?無限スイムを想定していないので確認してなかった。でもきっと、まずい時間だろうな。


シャワーをそそくさと浴びる。
シャワーエリアで、娘に会えた。とっくにスイムアップしてたと思って会場を離れる直前だったようだ。会えてよかった。


計時マットを過ぎてくてく歩く。
スポーツドリンクをもらう。スイムを終えただけで、これほど疲れるとは。


やっぱり、スイムも練習したほうがいいな。逆流でも泳ぎきれるように。


スイムタイム
1:29:47
637位


■T1
バイクはけっこう残っている。
どの選手も、相当スイムで苦労してるんだな。


座り込んで着替える。
濡れた足に、靴下は、はきずらい。
グローブもしずらい。
ジェルをひとくちのむ。


時計を見る。スイムアップからもう7分も経ってる。
10時スタートのBタイプの選手が、隣のラックで準備をし始めてる。


ラックとラックのあいだの通路をてくてくと自転車を押す。
がんばってと声をかけられる。
一種目しかこなしていないのに、疲れてる。


乗車位置の白線を越える。
よわよわしく漕ぎ出す。


■バイク
めずらしくスタート直後のエイドでとまる。
スポーツドリンクをもらう。


まわりのバイクが少ない感じがする。
ただ自分が遅いだけなのかもしれないが。


沿道のおばあちゃんらの応援。手を振り行ってきまーすと返す。
それにしても進まない。


こんなに進まないということは、もしかして前輪のブレーキが干渉しているのかもしれない。走りながら左手を伸ばしレバーと引き、ブレーキシューを広げてみる。


負荷はなにもかわらない。ブレーキの干渉はないのだ。
干渉していないことがわかり、バイクは問題ないのだから、がんばれ俺と自分の中で唱えた。きもちだけかわった。


エイドが前方に見える。
喉が渇いた。ボトルにはまだ水はあるけれど、コップでスポーツドリンクをもらおう。


エイドに近づく。減速する。
右手で前輪ブレーキを引く。


が、


全然効かない。
ブレーキが効いてない。


そうだ。疲れた頭が思い出す。


ほんの10分前に、もしかしてブレーキシューが干渉してるんじゃないかと思って、ブレーキを解放したままだっだのだ。


そのまま、エイドに突入。
すっと、まっすぐに手を伸ばした女の子から、奪うようにコップをもらう。


ごめんなさい。


コップをもらいながら、中の水がはじけるのがわかる。


ごめんなさい、ごめんなさい。


飲み干し、コップをエイドの先のゴミ箱になげる。
ブレーキを元にもどす


■坂


あまりきつく感じない。もともと坂道は嫌いじゃない。速くもないが。
この感覚は慣れなのだろうか。もう5回も珠洲大会に出ている。レースでしかコースを回らないけれど、かれこれ9度目の坂ということになる。やはり慣れか。


練習の成果かもしれない。春になる前から、近所の城山湖に自転車ででかけた。斜度は軽く10%以上はある道だ。そんな経験が、珠洲の坂をきつく感じさせないのかもしれない。


スイムが異常に遅かったせいなのか、まわりに走るバイクの選手が少ない気がする。

天気は暑すぎず心地よい。
トンネルを抜ける。


しばらく続く上り坂。この先はラケット道路とよばれる、急坂になる。上からみると大きくヘアピンカーブになっていて、まるでラケットのようなのでラケット道路と呼ばれているのだ。このラケット道路は追い越し禁止区間になっている、そのまえの坂道で抜いておいた。


■おばちゃん


馬緤(まつなぎ)のエイドにたちよる。
白いテントの一番手前に、親戚のおばちゃんがいる。
遠くからでもわかるおばちゃん。
昨秋手術した。元気になって、昔トライアスロンのボランティアをしていた頃のことを思い出しながら、いわれてもいないのに手伝ってた。


こどもの頃、このおばちゃんの家に遊びにきてた。夏休みが来るたびに、小学生の僕は、この珠洲の海で遊んでた。ふと、そんな記憶が蘇る。


いつまでも変わらない。
おばちゃんの前では自分はいつまでもこどもなのだ。


以前、ジュニアトライアスロンに出たとき、小4だった息子は高2になった。
昨晩は息子がおばちゃんに電話をかけてきた。
息子も仲良くしてもらってる。


エイドに立ち止まる。自転車にまたがりながら止まる。
ボトルを氷水で満たす。


今回は、ボトルに大量の粉飴を入れてきた。粉飴はマルトデキストリンでできている。補給ジェルの成分そのものを粉末にしたものだ。
今朝、ボトルに入れてきたけれど、おそらく、まだ、底に粉飴がまだ溶けきらないはずだ。


バナナをかじり、再出発する。


■1周目後半


町田トライアスロン連合のジャージを着た選手に抜かれた。声をかけた。
藤村さんだった。顔をあまり出していないのですが自分も町トラのメンバーですと自己紹介した。その後会場では会えなかった。


ゴジラ岩が右手に見える。引潮なのか、よくみえる。
左にUターンして大谷峠に向かう。


ループ橋になって数年がたった。ループ橋がない頃の以前の登り口から比べると、だらだらと長い坂が続くイメージだ。ループ橋がない時は、短く、でも、急坂を一気に駆け上がる。そんなコースだった。


ループ橋を半回転すると山が切れてまるで空に向かうような道になる。


その先は左に海を見ながら進む。
遠くの水平線を眺めながら漕ぐ、なんとも贅沢なコースだ。


このだらだらと長い登りは、昨年のほうがガシガシ登れてた気がする。
スイムでの疲れがやはり効いているのだろうか。


長い坂を登り、大谷峠旧道入り口前のエイドに寄る。


ボトルはまだ大丈夫。
冷たいスポーツドリンクをいっきに飲んで進む。


左にまがる。
勢いをつけてそのまま登りだす選手。蛇行しながらもスピードを維持してる選手。スタイルはさまざまだ。


一緒に走ったことはないが、ヒルクライマーのKだったらどんな風に登るのだろう。と想像する。


このカーブを曲がって、
少し道が広くなって、
通過チェックのためのゼッケンコールがあって、右に曲がるとあと少しだ。


きついけど、初めて出たときのきつさはもうない、あたりまえだけど、より辛いものを知ってしまったから辛く感じないとか、そういうことなのかな。


峠の頂上では低い声の係員さんがあと少しだそれいけと応援してくれている。ありがたい。なんだか、その低いドヤ声が、あしたのジョー丹下段平に応援されているようだ。


くだり坂になり足を止める。流れ落ちてくる汗は、森を抜けてきたひんやりした風をうけて、より一層体を冷やしてくれる。気持ちいい。


降車ゾーンの青いカーペットをてくてく歩き、道の反対側にバイクを停め再出発前にボトルを飲む。後ろに誘導のバイクが停車。


なんだろ?と思ったら、2周目を走ってきたトップ選手が来た。そのための誘導バイクだった


トップ選手が行き、あとに続く。
大谷峠のくだりでトップ選手の背中を見れるなんて、ラッキーだ。


選手は、下りでもガシガシ漕いでいると思ったけどそうでもない。足を止めてそのまま下っているのがみえる。それでも速い。次のランに備えているのだろうか?そんな想像をした。


下り終え平坦路になる頃、トップ選手は遥か先に行ってしまった。直線の先にわずかにみえるくらいだ。


こちらはまだ1周目。鉢が崎のスイム会場を目指す。途中ジュニアトライアスロンのバイクコースを通る。昨日娘はこのコースを一生懸命こいでたんだな。


2週目に入る。
イクラックのわきを少し速度を落として漕ぐ。タイミングがあえばとおもってたら娘たちを見つけることができた。行ってきまーすと声をかける。


暑すぎず、寒すぎず、漕ぎ出して作り出す風が心地よい、次第に眠くなってきた、なんだか力が入らない、ハンガーノックとは違うように思う。


エネルギーは十分補給できていると思う。心拍数が寝ている時のそれと同じになってるんじゃないかな?きっともっとガシガシこいで、心拍数を上げたら眠気も消えるだろうけど、そんな気分になかなかなれなかった。ぼーっと漕いで、ふと気づくと時速20km近くまで落ちていた。


はやく激坂にならないかな。なんて考える。


下り坂。追い越し禁止区間を終えた先に選手が5人連続している。下り坂の惰性を利用して、前の選手が抜きにかかったそのさらに右を、前にでまーすって言いながら抜き去る。見通しが良くないと出来ないなと思う。抜いたらしばらく強めに漕ぐ。抜いてすぐにスピードダウンして前を詰まらせたら迷惑だ。抜き去ることを意識して漕いでいた。これで安全な車間は十分取れたかなと後ろを振り返ってみる。先ほどの選手はだれもいなかった。ひとり幻想に追いかけられながら漕いでた。


馬緤のエイドでは、1周目に続いておばちゃんがボランティアの手伝いをしてた。ありがとう。氷をボトルに詰めて出発。


眠気もいつのまにかおさまっていた。
1週目ほど元気はない。大谷峠を登り始める。


いつもだったら登りになると前の選手を数人はパスできるのに、なんだか追いつく気がしない。


ジリジリとした暑さはない。長く緩やかな登りの先のエイドにほんの少し立ち寄る。

旧道のキツイ登りも終える頃、なんだか少しさみしくなる。次にこの峠を越えるのは一年後か。


降車ゾーンを越え、再び乗車して大谷峠を下る。向かい風だ。坂道なのにスピードに乗り切れないのが感じ取れる。


そういえば、始めてこの下りを猛スピードで下ったのは2009年、アルミフレームのキャノンデールCAAD9だった。


エアロバーもなく、バイクジャージも持ってなく、もちろんトライウェアもなかったの、昭和記念公園トライアスロンの参加賞でもらったコンプレッションウエアで出てた。


道路に切られている縦の溝にタイヤがとられるのが怖くて、必死にハンドルにしがみついて下ったんだ。


昨年から乗っているキャノンデールスライスはそんな怖さをまったく感じさせずに、気持ちよく坂道を滑り降りていく。フレームが振動を吸収してくれてるのだろう。このバイクならずっと遠くまで漕げる気がする。


大谷峠を下り降りると残りの平坦路は10km弱。向かい風の中を進んでいった。バイクパートは自己ベストを目指そうと目論んでた自分はどこにいったのだろう。


アップダウンを越え、ようやく鉢が崎が見えた。最後の下りを行く。


反対車線に選手らしき人がバイクを漕いでいる。きっとスイムでリタイアになった選手だ。彼らの気持ちもすこは乗せていけただろうか。


■T2
イクラックに掛ける。
まだ空きがある。
漕いでる選手がこんなにいるのか。
隣のバイクもまだ帰ってきていない。


座り込んで靴下を履き変えてるとアナウンスが流れる。


第1ウェーブのタイムリミットまで残り2分です。


隣で着替えてる選手に声をかける。


「ということは、第3ウェーブの我々も残り12分しかないってことですよね、ランは休まず行けってことですね」


と言ってお互い顔を見合わせて苦笑いする。
さあ、出発だ。


■ラン


イクラックを通り抜け、ランスタート直後のエイドで水分補給した。スポーツドリンクを飲んで氷をいくつかポケットへいれる。


昨年は、走ったり、歩いたりを繰り返してたけど、今年はまず行けるところまで走ろう。タイムリミットは9時間20分だ。ランで使えるのは3時間と少し、余裕はない。


飛ばしすぎず、遅すぎず、淡々と脚を進める。エイドまで残り200mと書かれた看板に励まされる。毎年思うのだが、200m以上あると思うんだよな。でも、あと200mならがんばろ、走り続けようって思って、結局タイムが縮まってると思う。


キロ5分後半から6分くらいで進む。体に熱がこもると一気にパフォーマンスを落とす。エイドのたびに氷をもらい、ウエアのポケットに入れる。2km毎にある次のエイドに着く頃に、氷は小さくなってるので、再び氷をもらうのだ。


氷は直接ウエアの中にも投げ込んでた。キンと冷えて気持ちいい。


前にはBタイプの選手が走ってる。兄もBタイプに出たので折り返してくるんじゃないかと思ってじーっとみる。とうとう5kmの折り返しまで来てしまった。兄は現れない。どこにいってしまったのか?


ここさら先はAタイプだけだ。


前を行く選手を一人づつ目標に走る。あの選手に追いつくまでは走ると決めて、淡々と行く。


エイドのたびに氷をもらうようにする。エネルギーはまだ大丈夫だ。


左に見附島が見えてきた。
前には女性アスリートがいるけどなかなか距離が縮まらない。


緩やかに右カーブしながら下る。復路も走って戻れるだろうか、宮古島では30kmまでは走れたのだ、走れるところまで行こう。


下り坂が終わる頃、女性アスリートを追い抜いた。ここまでB内さんに会っていないな。とっくに復路を来ているはずだ。すれ違う選手はみていたつもりだけど。


見附島を大きくUターンする。いつも学生さんがエイドを担当してくれる。スポーツドリンクを飲み、梅干しをなめて出発する。氷水を頭からかぶる、気持ちいい。


復路を行く。まだ脚は前に出る。大丈夫だ。前を行く700番台の選手の後ろになる。ペースはほぼ同じ、若干彼の方が速い、離されそうになるが、ついて行く。


このタイムゾーンで、必死に走っている人はあまりいない。止まらずに進んできたおかげで、タイムオーバーにはならなそうだ。


彼と順位争いするわけでもないのどけど、兎に角ついていった。エイドで自分が前になる。彼の足音が続いているのが聞こえる。少しだけペースを上げる、彼はついてきているようだった、やるな。


次のエイドに到着。歩きながら、氷をもらいドリンクを飲んですぐさま走りだす。彼はここまでにしたようだ、もう後ろをついてこない。


決して速いわけじゃないけど、もう少しだけ、もう少しだけ、と自分を奮い立たせて走るのは楽しい。


反対車線の往路では最終走者を伴走するクルマが見える。


このままゴールまで走りきれそうだ。前の選手を目標に走り続ける。


初めて珠洲に出たのはもう7年も前だ。あの頃、沿道で応援してくれてた見知らぬおばあちゃんたちは、いまはどうしているだろう。


午後3時をまわる。刺すような日差しはゆるみ、8月の終わりのほんのり秋を感じさせる風の中を走る。


左に折れ、野球場に向かう。残り500m。
野球場の入り口で、公園での遊びを終え、応援に戻った末娘と合流できた。


2人で手をつないでゴールテープをきった。青々とした芝生に寝転ぶ。


終わっちゃったな。
楽しかったな。


まだ珠洲にいるのに、
はやく珠洲にいきたいな。


そんな気分だった。

おわり。