6度目のつくばマラソンは撃沈
準備
つくばに出るのはかれこれ6度目になる。
はじめてフルに挑戦してボロボロだった6年前から、毎年着実に記録更新し、昨年出した3時間40分が自己ベスト。
今年は、サブ3.5を目指して臨んだ。10月は320km走りこみ、11月に入ってから短い距離を重ねた。
10月の走りこみは、週末にLSDを30〜50km 走った。リュックを背負ってワンウェイで温泉に入って帰る。練習というよりマラニック的だった。
11月に入って、毎日の昼休みラン7kmのうち、1.5キロ区間をキロ4分を切るペースで走ってみた。スピードトレーニングのつもりだった。
大会数日前に軽い風邪をひいたが、大事をとって1日会社を休んだおかげで体調は万全だ。
絶好のマラソン日和
いつもどおり、4時49分の始発に乗る。偶然、富士山マラソンに出る会社の友人Yさんと一緒になった。富士山マラソンは5000人近くが渋滞で出走できなかったようだが、後日聞くと電車を利用したので無事走れたそうだ。よかった。
日が昇る。シルエットになった街並の向こうはオレンジ色のグラデーションの空。車窓が写真の作品のようだ。乗り換え駅まで再びうたたねをする。
つくば駅には7時15分に到着。ロケットがそびえたつエクスポセンターのわきを通りぬける。ひんやりした空気が気持ちいい。すっかり、いつものマラソン大会となってしまったけど、会場に向かうにつれワクワク感が増してくる。
テント活躍
今年もつくばエクスプレスに乗りたいという息子を連れてきた。更衣室や売店のあるメイン会場の入り口近くに3人用のテントを張った。地面の草は朝露で濡れているが日差しが出るので乾くだろう。
テントの中で着替え、息子に荷物番をお願いする。一緒に出場する兄も合流した。昨年はテントもなく一人で芝生の上でポツンを待たせてた。天気がよくポカポカ陽気ならいいけど、寒空の中4時間も待っていられないので、テントをもってきて正解だ。
トイレ
スタート前にトイレを済ませる。昨年までは一列に並び、空いたトイレに入る、いわゆるフォーク式だ。今年は各トイレの前に並ぶ個別式。
スタート40分前に並び始め、出たのは10分前だった。隣の列では、さんざん並んだあげく、トイレが満タンなって別の列に並び直しとなってた。かわいそう。
どちらの方式でも待ち時間は大きく違いはないと思うが、トイレは故障もするし、満タンになるのだから、やはりフォーク式に並んだほうがよいと思う。
スタート
自分はDブロックの出走枠だ。申告タイム順にブロック分けされている。スタートは9時半。すぐ後ろのEブロックの先頭にはサブ4のペースランナー2人が並んでいる。帽子には、目印の風船をつけている。
スタート直前、パァーンという破裂音。スタートの号砲かと思いきや、ペースランナーの風船が割れた。係員は、背中についたペースランナーののゼッケンと、このしぼんだ風船カスを追いかけてくださいね。と促していた。皆がなごやかになった一瞬。
号砲
Dブロックはスタート地点までしばらくある。てくてくと歩きながらスタートゲートに進む。ゲートをくぐりGARMIN910のスタートボタンを押した。
0〜10km
コースの左端にポジションをとり、選手をすり抜けながら前をいく。ペースは一定せずちょっと進んでは停まりを繰り返す。最初のラップはキロ5分14秒だった。前半はキロ4分50秒目標だったのに遅すぎる。渋滞しているとはいえ少し焦る。
ややペースアップし、キロ5分4秒。気持ちいいペースだけどまだ遅い。ちょっとペースアップしたつもりでも次のラップもキロ5分4秒。自分のカラダはまるで機械仕掛けだ。
地面ばかり見て走っている。ときおり顔をあげて、景色を眺める。前方に筑波山が見える。美しい。なんどもつくばに来てるけど、一度も筑波山には登ったことがないな。
選手がばらけてきたので、4分台へペースアップ。キロ4分47秒まで上げる。この調子だ。つぎのラップも4分47秒きっかりだった。GARMIN910が知らせるラップを眺めながら、1秒も狂わずラップ刻むなんてオレスゴイなんて思った。
10〜20km
大通りを左折する。数年前はトップの選手をここですれ違ったよなぁと思いながら走る。毎年出場するたびに、トップの選手とのすれ違い地点が折り返しに近づいている。自分の成長を感じてうれしい。
いい天気、だが景色をみる余裕あまりない。時計とにらめっこ。沿道の声援にもほとんど応えてない。
トップの選手ら復路の選手とすれ違うと自然とペースアップしてしまう。自分だけでなくまわりの選手全体がスッと前に進む感じがする。折り返しコースならではだ。
給水はほぼ毎回とった。こぼさずに飲むぞと思うのだけど、毎回シャツをぬらしてしまう。上手な選手は紙コップを少しすぼめて、飲み口を細くして飲んでいた。今度真似してみよう。
折り返しが近づく。復路の集団の中に知り合いがいないかなとずっと右ばかり見て走る。だけど、今回は誰だ出てるのかちゃんと調べてこなかったっけ。
折り返しだ。空気でふくらませた三角コーンがふにゃりと折れまがっている。コーンを大きくまわり復路へ。駆け抜けている感がうれしい。
20〜30km
まっすぐ伸びる道路。気持ちいい青空。ふと、右をみるとトライアスロン仲間のAさんが走っているのが目に入った。思わず名前を叫ぶ。一瞬で通り過ぎる。
今度は自分の名前を呼ばれた、一緒に出場している兄だった。けっこういいペースだな。サブ4いけそうなペースだ。がんばれ。
少し腹がへったかも。昨年は何も持たずに走った。今年は補給は好きなタイミングで取って1秒でも短縮つもり。ジェル2つをウェストバックに忍ばせてある。25kmと35kmで補給すると決めてた。
25kmの表示きっかりでジェルを飲みほす。脚は少し重くなった。キロ5分きっかりくらいだ。このペースで押していきたい。
いつのまにか往路の選手は見えなくなった。例年だとけっこう長く列がのびていた気がするけど、天気のよさにつられてみんな気持ちよく飛ばしているのかもしれないな。
30〜35km
ペースダウンしてきた。キロ5分10秒だ。マズイな。落とさないようにと思いながらも次のラップはキロ5分24秒。ずるずると落ちてきた。
ズーンと脚が重い。前半に追い抜いてきた選手にこんどはつぎつぎに抜かれる。ついていく脚力がない。前半の貯金でどうにか自己ベスト(3時間40分)は更新できないかな。そんな計算をアタマでしはじめた。
とうとうキロ6分になってしまった。計算上ではキロ6分で進んでもギリギリ自己ベスト更新できるはずだ。ボロボロだけどどうにか自己ベストは更新できました。ってfacebookで報告するんだ、行くんだ俺。なんて考えてた。
ビキィーン!!
そんなとき太ももが攣った。はじめは左脚裏側、右脚もプルプルしている。
走るのをやめて歩道に上がった。おそるおそる伸ばしてみるけどプルプル感はとれそうもない。やってしまった。。。
もうゆっくりジョグするしかない。キロ6分半、キロ7分。。。
残り10km切った。フレッシュな身体ならどれだけ気持ちよく走れるだろう。くやしいな。
35〜42km
35km、予定どおりジェルを飲み干す。塩なめたら攣ったの治らないかななんて思いながらエイドを通り過ぎる。ジョグ、ジョグ、ジョグ。攣りそうになったら歩く。景色がなかなか変わらない。プルプルいっている腿とふくらはぎをだましながら閾値ギリギリでジョグ。
ゴールが遠い。駆け抜けたい気持ちとはうらはらに言うことをきかない脚。10月に300km越えて走りこんでみたけどスピードに耐えられる脚じゃなかったのだ。11月にはいってからほとんど会社の昼休みランしかしてなかったな。。。キロ4分切るくらいまでスピードあげてみたっけ。。。
「がんばってくださーい♪」
右手にビキニの女の子が居る!思わずテンションが上がる。うる星やつらのラムちゃんだ。トボトボとあるきながらわきを通り過ぎる。こんなことだったらiPhoneも持って走ればよかった。ついでにラムちゃんと一緒に写真でも撮ったのに。。
大学構内に入る。道路の左端をジョグする。あいかわらず抜かれまくりだ。しかたがない。もう、自己ベスト更新は無理だ。兎に角ゴールするしかない。サブ4は死守するのだ。
オールスポーツのカメラマンにも疲れた表情を見せるしかなかった。いつもだったらレンズに顔をむけ、楽しさを表わすのだが、まっすぐコースを見て、前に進むしかなかった。
最後の折り返し。ここだけは歩かないように踏ん張った。いつのまにかAさんは前を走っていた。苦しそうだけど楽しそうだ。
フィニッシュ
残り1kmを切る。朝切ったスタートゲートを反対からくぐる。今朝並んだDブロックを通り過ぎた。もう少しだ。
左手にゆるくカーブを曲がるとフィニッシュゲートが見えた。ゲートの斜め上の青空をみると、筑波山がくっきりと見えた。ゴールで見える景色もコース設計者が計算していたのかな。なんて思いながらくぐりぬける。
たどりついたけど、撃沈だった。疲れた。。。
係員に右足のランナーズチップを取ってもらう。アミノバリューをもらう。攣っている脚が少しでも治らないかなとすぐに開けて飲む。
完走証をいただく。プリンターがずらりと並んでいる、待たされることもなく快適だ。
「K様、完走おめでとうございます。お疲れさまでしたっ♪」
長い髪のかわいい女の子だった。どうもありがとう。
完走証を見ながらしばし座り込む。5年前にマラソンをはじめて今日でフルマラソン7度目だ。毎回自己ベストを更新してきたのに、、、とうとう途切れてしまった。悔しいな。
スペランカー
走り終えた選手がメイン会場へ戻っていく。途中3段の階段があるが、係員がまわりに待機している。
「段差に気をつけてください。脚が弱ってますからっ」
前の選手は脚が攣ってパタリを倒れこんでいた。係員がサッと肩を貸す。自分も係員のお世話にならないように慎重に脚を運ぶ。こんな段差でやられてしまうなんて、俺たちみんなスペランカーみたいだな。
次へ
悔しい。積み上げてきたからこそ悔しいのだと思う。ペース配分には失敗してしまったけど、無謀に飛ばしたわけではない。これならいけるハズと思って設定したペース。でも脚が持たなかった。ペース走をしっかりやって。最後まで気持ちよく駆け抜けたい。
美酒に酔うつもりだったけど、ちょっとだけビールが苦かった。
次、行こう!