peicozy's blog

マラソン、トライアスロン、ブルベの完走記と、日々思うこと

ランナーそれぞれのストーリー

天気がよい日曜日。修理あけのバイクに乗って境川CRを下って行った。
宮古島のバイクパートと同じ150kmを漕いで帰るつもりだったのだけど、
左ひざに若干痛みを感じたので江ノ島をみて引き返してきた。往復で95kmだった。


1月に湘南国際マラソンで走ったコースは、再びランナーで溢れていた。
今日は東京マラソンの日だけど、各地でもロードレースが開催されているのだ。


海岸線に平行する134号線は湘南藤沢マラソンが開催されていた。
ぼくは、いつのまにかバイクを停めて沿道でランナーを見続けていた。


そういえば、自分が出場しないロードレースを見るのは久しぶりだ。
思えば、はじめて昭和記念公園トライアスロンに出たのは2007年7月だったけど
その年の3月に兄が走った熊谷さくらマラソンを見て自分も何か大会に出ようと心に決めたのがきっかけだった。


沿道で声援を送っていると、一人の女性ランナーが近づいてきた。
女性ランナーはぼくの足元にしゃがみこむと落ちていたセブンスターの空き箱を拾い上げた。


(レース中に突然タバコが吸いたくなったのか?しかも拾いタバコで???)
あまりにも女性ランナーの行動が意味不明でぼくはじっと見入ってしまった。


女性ランナーは息を切らしながらタバコの外装フィルムをとりはずした。
そして、指先に挟んでいたコンタクトレンズをそっとフィルムにくるんだ。


(なるほどコンタクトを包む「何か」を探していたのか)


ぼくは思わず、「ガンバです!」って言うと、女性ランナーは少し照れ笑いしながら
「ありがとうございますっ!」と言って走り去っていった。


きっと、片目のコンタクトが外れたまましばらく走っていて、何か包むものはないかと地面ばかり見て走っていたのだと思う。
早く見つけないと指先のコンタクトレンズが吹き飛んでしまうと思って必死だったに違いない。


そして思いついたのがタバコの外装フィルムだったのだ(想像だけど)
コンタクトをくるんでポケットに入れたあとは、安心してまたゴールを目指せたのだと思う。


そして、ゴールを切ったあとに友人にこう話すだろう。
「レース中にコンタクトがはずれちゃってさ大変だったわ。どうにか無くさずにんだけど。」


こうして、数千人、数万人のランナーそれぞれに今日のレースのストーリーができあがる。
同じ大会を共有しているけど、誰一人として同じ物語がない。


ランナーそれぞれのストーリー。