peicozy's blog

マラソン、トライアスロン、ブルベの完走記と、日々思うこと

チャレンジ富士五湖 72km

2012/4/22 第22回チャレンジ富士五湖ウルトラマラソンの72kmの部の完走記です。


■受付
朝3時25分、本橋さんの電話で起きた。
支度して家を出る、相原駅につくとすでにクルマは到着、セブンに寄り、高尾山ICから中央道へ。午前4時で高速はガラガラ。談合坂でトイレ休憩しても富士山北麓公園駐車場には5時に着いてた。上の陸上競技場駐車場は満車のため、北麓公園から送迎バスに乗り込む。

6時15分、大会受け付け、72kmの受け付けは6時半からとのことで待つ。体育館の中も寒い。112kmと100kmの選手の荷物がひっそりと並んでいる。112kmは4時半、100kmは5時にそれぞれスタートを切っているのだ。冷たい風を切りながら走っているのだろう。

受け付けを済ませ準備。ランナーズチップは2つ配布され両足にひとつずつ装着する。2つつけるなんて始めてだ。着替えながら、dauterの10Lを背負っていくつもりだったが、急遽バイクジャージのポケットに荷物つめていくことにする。(これが失敗だった)

100均の合羽とデジカメ、飴をバイクジャージのポケットに詰めウィンドブレーカを上のから着た。それでも寒いので透明ゴミ袋を被った。
42km地点に着替えを預けるつもりだったけど、72kmならいらないでしょ、とメンバーの助言に従った。確かに着替えは不要だと思った。ただ、100kmや112kmは色々預けたほうがいいと思う。

■スタート
7時、ワイナイナはるな愛のスターターに見送られながらスタート。キロ6分半から7分のペース。

ひんやりした林の中を抜ける。普通のマラソンレースよりは参加者は少ないとはいえ集団となっている。集団の中に居ると冷たい風が遮られてあたたかい。

雨の予報のためかノースフェイスのレインコート上下着込んで走るランナーもいた。天文台わきを通りすぎる。

国道に出た、ここから先にスタートした100kmと112kmのランナーと合流だ。チャレンジ富士五湖は信号遵守、歩道を走るというルールなのでランナーがばらけていない前半は混雑する。

既に30km近く走ってきた100km/112kmのランナーに抜かれる。こちらはまだ10kmも走ってないのに。どこかでハッシーさんやみさおさんに会えないかとキョロキョロしていたけどレース中見つけることは出来なかった。

■バイクジャージの利点と欠点

国道沿いのエイド、それまで被っていたゴミ袋を脱ぎ捨てた。中にはびっしり水滴が着いていた。結構汗かいてるんだな。ついでにウィンドブレーカも脱いでバイクジャージのポケットに押し込んだ。汗が冷たい空気にさらされて一気に体温が奪われる。ゴミ袋は寒くなったらまた被るかもしれないと思ってバイクジャージのポケットにもどしかけたけど結局エイドのゴミ箱に捨てることにした。

バイクジャージのポケットには、雨とジェル、デジカメとウィンドブレーカ、100均のカッパが入っている。走り出すと腰の荷物がゆっさゆっさと揺れる。バイクジャージはやわらかい素材でできているので少しの上下動で大きく揺れるのだ。これには参った。揺れが気になって走りに集中できない。こんなことだったらバックパックをきっちり背負って走っていたほうがよかったかもしれない。さっきまで荷物の揺れが気にならなかったのは、バイクジャージの上に着ていたウィンドブレーカが、荷物の揺れを抑えていたのだということに気づいた。

バイクジャージの裾を右手で押さえながら、左腕を振って走る。なんだかケガをした選手のようだ。裾を押さえると荷物はぴたりと腰に収まり、揺れがなくなる。腕振りできないのはしかたがないけど、揺れるのよりはマシだなと思って走った。裾を押さえる手をときどき左右に変えながら走った。

■雲に隠れた富士山

河口湖大橋を渡る。コースガイドには大橋を渡る時に振り返ると富士山が見えるとあったが曇天のため富士山をみることはできなかった。走りながらデジカメを取り出し富士山がみえるであろう方向にレンズを向け写真を撮った。ついでに手を伸ばして湖面とともに自分撮りをした。走っている最中は自分撮りばかりなのでどの写真も同じようなアングルになってた。来年出ることがあったら立ち止まって誰かに撮ってもらおう。まあそんな余裕があればだけれど。

橋を渡りきったエイド。水を一杯いただく。お菓子にはきのこの山もある。きのこの山は山盛りになっていて、本当に「きのこの山」だなこりゃとひとりにやけた。大きい飴玉を口にほおばり出発。河口湖一周家族でサイクリングしたことを思い出しながら走る。今日は自転車ではなく、自分の脚で行く。曇りだけどほぼ無風だ。寒さは感じなくなっていた。

■切れたゼッケン
今回ゼッケンはウェアに着けず、ゼッケンベルトに前後安全ピンで留め、腰に巻いて走った。ゼッケンベルトでは、ゼッケンが横向きになっていたり、ウエアの下にもぐってしまったりするので時折確認をする。走りながら後ろのゼッケンが見えるようになっているか確かめようとクルリとまわしてみる。そこには安全ピンだけが残り、ゼッケンは切れてなくなっていた。どこかで落としてしまったのか。
まあ仕方がない、残った一枚のゼッケンをなくさないようにしなければ。ほどなく後ろから抜いてきた1000番台の選手が自分のゼッケンを拾ってきてくれた。ありがとう。落ちたゼッケンを拾うには一度止まってしゃがんまなければならない。普段だったら何でもない動作だけど、走っているリズムを止め、疲れている脚に余計な負荷をかける。落ちる瞬間を見ていたのか?それともたまたま拾って落とした選手を探しながら走っていたのかわからないけど、ほんとうにありがたかった。逆に、自分ではそんな余裕がないなと思った。

■かぶりもの
ウルトラマラソンでも被り物を着て走る選手が居る。今回は富士山の被り物をしている方を何名か見かけた。自分は完走さえもままならないのにすごいなぁと思う。でも今回は雨なので被りものをしていると多少はカッパ代わりになったのかなとも思う。

■登り坂
河口湖から離れ西湖へ。初めて通る道だ。急な上り坂の上にエイドがある。72kmでの27km地点。着替えを預けたらここで受け取る。この先、実は景色をあまり覚えていない。淡々と一歩一歩ふみだすだけで湖から湖へ移る途中の道はどんな景色だったのだろう。西湖入り口のエイドで補給。雨はまだ降り出していないけどどんより重たい雲だ。左手に西湖を見ながら走る。釣りのボートが5,6艇湖面に浮かんでいる。湖にあわせて道がカーブしている。しだいに細くなる湖。選手はかなりまばらになっていて、カーブの先にはぽつりぽつり一列になっているのが見える。

■しみるうどん
西湖野鳥の森公園に到着。うどんがあるエイドだ。さっそく一杯頂いて七味を振りかける。道路わきの縁石に腰掛けすする。旨い。エネルギー切れになってきたカラダが吸収してく感じがする。コーラやバームも飲んで、お菓子を食べ、飴玉を放り込んで出発。エイドの休憩込みでこの1キロは12分くらい。いまにも雨が振りだしそうな空。ポツリと振ってきた。

精進湖
西湖から精進湖。大きな橋を左にカーブする。しばらく下りだ。ということは復路は登りになる。ちらほら復路の選手とすれ違う。そういえばトップと思われる選手を見たけどどの辺だったのだろう。ターンターンと跳ぶように走り下っていった。こちらは、ヒタヒタと登っていくだけだ。


精進湖〜エイド
本栖湖に折り返しのエイドがある。72kmコースでは42km地点だ。精進湖から先の歩道は折り返しの選手とのすれ違いで混み合っていた。できるだけ山側に寄って走る。伸び出る枝や足元に広がる枯れ葉をよけると通行できる歩道の幅はわずかだ。狭い歩道を譲り合って走る。前の選手を抜く時も、一気にスピードをあげることは出来ないので時間がかかる。しばらく選手の背後について、折り返しの選手が途切れたのを見計らって前に出る。

前を行く本橋さん、鶴貝さんとすれ違った。すでに折り返しのエイドを終え復路なのだ。速い。本橋さんの後ろにピタリと鶴貝さんがつき、2人で引っ張りあっているようだった。10分ほどして三澤さん、青木さんとすれ違った。みんな速いなぁと思いながら折り返しエイドに向かった。

■地下道
本栖湖の手前、路地を左に折れると地下道だった。レース中、階段を上り下りするとは思っていなかったので正直驚いた。そういえば皆生トライアスロンは信号遵守だし、歩道橋を渡るコースと聞いたことがある。どこかこの大会に似ているなと思った。

■折り返しエイド
42km地点の折り返しエイドに着いた。エイドの手前に計測器があった。選手は雨が降る中椅子に座って休んでいる。ようやくフルマラソンの距離を終えた、残り30kmだ。温かい飲み物がほしくてココアをいただいた。甘いココアだと思ったのだが味覚がおかしくなっているのか甘みを感じなかった。バナナやチョコを頬張った。5分ほど休憩したが後ろにいるはずの岸人さんは現れかなった。この先は112kmの選手のみ本栖湖をさらに一周する。100kmと72kmの選手はここで折り返しだ。小雨の降る中復路を出発した。エイドを出てすぐ、右手に本栖湖を一周してきた112kmの選手が道を登ってくるのが見えた。とてもそんな長い距離走れる気がしない。本当にすごい。

■往路と復路
エイドから精進湖まで往路と復路がすれ違う。復路は下り基調なので補給直後ということもあり自然と足取りが軽くなる。往路を登ってくる人はまだまだたくさんいる。歩いている選手も増えてきたようだ。雨は先ほどより強まってきた。クルマがしぶきをあげながら歩道のわきを走り抜けて行く。精進湖に着いた。往路で寄ったエイドが見える。登ってくる選手はまばらだ。ここから本栖湖まで登って関門に間に合うのだろうか?と見ず知らずの選手のことを思う。

精進湖から西湖
雨が降り続く中走る。バイクジャージに入れたデジカメを取り出す元気もない。周りはいつのまにか見覚えのある選手ばかりだ。抜きつ抜かれつのデッドヒートではないけれど、同じウェアの選手に何度も出会う。エイドの休憩時間やランのペースは違うけれど、アベレージでは同じスピードになっているようだ。まあ、覚えていたのは概ね女性ランナーばかりだけど。

■100均のカッパ
雨よけに羽織ってたのは前日ダイソーで買った100円のカッパだ。コートやポンチョがあったがジャケットタイプにした。コートでは足に絡まるだろうし、ポンチョでは風の影響を受けると思ったからだ。ただランニング用ではないので半透明ではない。ゼッケン確認できるように、ゼッケンベルトを腰まで下げた。カッパ着て走るのは初めてだったが、違和感はなかった。キロ5分で走るならガサゴソして走りづらいと思うけど、キロ8分のペースならなんの問題もない。でも、ランニング用の半透明のウィンドブレーカのほうがカッコいいな。来年までに手に入れよう。にぎりしめていた手袋は雨に濡れていた。ウィンドブレーカのポケットに丸めていれた。

■富士パノラマライン
精進湖から139号を登る。富士パノラマラインだ。橋のようにみえるが川をわたるわけではない、歩道から右手を見下ろすと原生林が広がる。西湖までは微妙な登りが続き歩いている選手も少なくない。天気がよかったら遠くまで眺めて気持ちいいのだろう。(実際ストリートビューで見るとこれでもか!という青空だった。)ポトリとデジカメを落としたら絶対に取りにいけないな。と思いながら走った。

■湖北ビューライン
富士パノラマラインを終え、湖北ビューラインに入る。こうして道路の名前を書いているが、事前に調べてから走ったわけではない。走り終えた今、地図と記憶を照らし合わせながら書いているのだ。地図でみると、一本の線だけれど、実際にそこで見た景色は表現することはできない。美しい風景であろうと、林間の道であろうと、その時その瞬間に自分の脚で通ったときの感覚を言葉に変換するのは不可能だ。

■西湖野鳥の森公園
復路でもうどんにありつけた。七味をふりかけ縁石に座って食べる。車の通りは少ない。県道だからだろうか?うどんをすすっていたらおじさんが話しかけてきた。「ここまでくれば時間内にたどりつけそうですな」おじさんは100kmの選手でここまで80km走ってきている。雨でメガネが曇っていた。「そうですね、アクシデントなければいけそうですよね」と会話した。そうなのだ、途中で脚が攣ったり、どこか痛くなったりしたらアウトだ。この先20km。慎重に弛まなく一歩一歩進むしかない。
うどんを食べて落ち着いた、立ち上がろうとするとギシギシと体が音を立てるようだ。チョコレートと飴玉をほおばりながら出発した。雨が続いている。
空き地にクルマを止め応援してくれている方がいた。(100kmコースの)80km地点だ。木には「UTMF半分」の文字が貼られていた。そうなのだ、こんなに走ってきたのにまだ半分なのだ。UTMFの長さは本当に長い長い道のりなのだ。出場される方を尊敬する。

■復路の西湖
西湖を左手に見ながら走る。湖を縁取るように道カーブが連続する。気持ちがいい、こんな幸せな時間が永遠に続けばよいのにと思いながら走る。残り15km。完走はできそうだ。練習で走ったコースが頭に浮かぶ。水溜りをよけながら走る。たまによけきれなくてパシャンと踏み入れてしまう。左足で踏んだしぶきが右足のメッシュからしみこみ靴下を濡らす。指がふやけてしまわないように、注意していたのに。自分にがっかりする。
西湖を追えトンネルを抜ける。トンネル内では910がビィィーンと振動を鳴らす。わかったよキロラップではなくて、衛星をロストしたんだな。

■西浜小
エイド。紅茶を頂いた。暖かい飲み物がしみる。バナナをかじる。食欲はあまりない。雨は少し小振りになった。エイドでは不要になったカッパを係の人が配っていた。小振りになり脱ぎ捨てたカッパを他の選手に分けているのだ。カッパをもらって行く選手はいなかった。
ここから先は河口湖だ。家族でサイクリングしたこと道を通る。いってらっしゃーいと寝ぼけながら見送ってくれた妻。パパ頑張ってねと言ってくれた子どもたちを思い出す。家族おいておいらひとりで何ヘトヘトになってんだろ。完走するよ。と思いなおしてじわっと涙が出そうになる。いかん、まだゴールしていないのだ。
河口湖へ向けて往路で登った坂を下る。どうやら自分は下り坂が苦手みたいだ。疲れていることもあると思うけど下りでどんどん抜かれる。

■河口湖
一度は小雨になったが止んではいない。カッパは着ていたがフードはかぶっていないので頭が濡れている。しかもバイザーだったのでびしょびしょだ。バイザーは水分を吸って重くなってきた。走ると少しづつ、つばがおりてきて、いつのまにか視界が狭くなっている。バイザーを何度かかぶりなおしながら走った。
係り員に促されるまま、前を行く選手を追いかけるまま走る。あと少しだ。

今朝走った道だ。だらだらと長い上り坂が続く。ラストの登りは歩いている人も多いとどこかで読んだのを思い出す。この坂のことかな?たしかに歩いている人が多いけど。

■劇坂
大通りから道をそれて右折する。しばらく行くとエイドだ。味噌汁があったが食指が動かなかった。。コーヒーを頂く。熱湯ではなく飲みやすく多少ぬるめになっている。ありがたい。GARMINを見るとここまで9時間20分。エイドには残り5kmと表示。
キロ8分で行けば40分、9時間台でゴールできる。心の中の自分が、「サブ10達成しようぜ」とつぶやいた。
そう決めたらゆっくりしてはいられない、チョコレートを口に放り込んでコースに戻った。見上げると延々と続く坂道。(これがラストの登りってやつか)ようやく分かった。あたりは暗くなり始めている。選手はみな歩いている。ずっと先を見ても走っている選手はいないようだ。

疲れを忘れたのか麻痺したのか不思議と脚は前に出る。まわりは歩きなので面白いように次々と選手をパスする。はぁはぁと自分の息遣いだけが聞こえる。もう少し、もう少しと自分に言い聞かせる。
後ろから登ってきた選手に抜かれた。強いなぁと思っても、ついていくほど体力は残っていない。その選手も追い抜いたあと100メートルほど先で歩きはじめた。再び抜き返す。

降った雨が林道に沿って流れている。そのわきとピタピタと走る。バイクジャージの中はデジカメと食べ切れなかった塩タブレットだけ。ユサユサ揺れるものもない。腕をリズムよく振って脚を前に出す。寒さは感じない。前をいく選手が道の右に移った。この先右に曲がるのだ。まだ曲がり角は見えない。

自分はそのまま道の左端を走った。さえぎるものはない。とにかく前へ。クルマを停め、雨の中立って応援してくれる方がいた。思わず「この坂きついっすね」と言うと、「登りきれば下りです、頑張って」と。そうか、下りがあるのか。

■ゴールへ
下りはまだか、と思ってもなかなか頂上にたどり着かない。道を右に折れゆるやかながら平坦にそして下りになった。頂上付近でGARMINが知らせてくれたキロラップは8分40秒。がんばって登ったのだがキロ8分に届いていない。なんてことだ。残り時間はどれいくらいか、総時間を見る余裕なく急ぐ。

下りで選手に抜かれた。「もう登りはないですか?」と言われたが「初めてなのでわからないですっ」と答えた。まわりも皆サブ10を意識してかペースアップしている。釣られるように走る。とても72km、100km、112kmを走ってきたとは思えないペース。歩道に入り右に折れる、競技場が見えた。薄暗い中、雨の中応援してくれる人々、あと少し、あと少し。
ぐしょぐしょにぬれて重くなったバイザーを手に握り締めた。


最後のカーブを左に曲がった。電光計時はまだ9時間台だ。ようやくたどり着いた。帰ってきたぞ。間に合った。なんだかいっぺんにいろんなものがこみ上げてきた。目からなんか出てきた。両手を突き上げてゴール。


72kmのメダルをかけてもらった。もう走らなくいい。サブ10だ。72kmでサブ10なんてカッコいい記録じゃないけれど、良く走った。ありがとう。


沿道の声援にはにこやかに応対するほど余裕がなかったなと思う。なんか険しい顔して走っていたのだと思う。

今回、靴ずれも、関節も特に痛みはなかったのは幸いだ。


また走りたいか?と問われればしばらく走りたくないというのが本音だ。でもきっとそんなことは忘れてまた走りに来てしまうかも。

終わり