peicozy's blog

マラソン、トライアスロン、ブルベの完走記と、日々思うこと

見る前に翔べ

プロフェッショナル仕事の流儀

TV放送後急激にフォロワー数が伸びた。あらためてTVの威力を感じた。数年前にガイアの夜明け(だっけ?)に出たとき、知人から「観ましたっ」と受けたのはメールだったが、今回はソーシャルネットワークからがほとんどだった。特に放送中は空港に居たのだけど観た感想がリアルタイムに入ってきて、かつ自分の一言に無数のコメントがついた。オレってAKB並みの人気かもって思ったけどすぐ元の静けさに戻った(笑)。(デブサミの)会場でTV観てくれた人は80%くらい。ここだけみたらすごい視聴率だ(⇒確かに紅白超えちゃうかも)


放送後クラウドスコア(ソーシャルに対する影響力をポイント化したもの)も上昇した。
放送に対する意見は、2chとソーシャル(twitter,facebook,google+)でまったく逆だった。
2chはネガティブ、ソーシャルはポジティブ一色だった。このように一方向に集団の意見が傾くことをサイバーカスケードと呼ぶ。(⇒へえ、サイバーカスケードっていう言葉はは知らなかった)

launch&iterate

ソフトウェアはまず出して(ローンチ)して改良(イテレート)を繰り返す。リリースよりローンチという言い方が好き。ザッカーバーグも言っているが、Done is better than perfect.(完璧を目指すよりまず終わらせろ)が大切。。パッケージソフトはバージョンアップが階段状だが、クラウドサービスは細かな改良が積み重なっていて外から見ると無段階に見える。デプロイコストはパッケージ高いがクラウドは低い。クラウドは(サーバサイドの)1つのインスタンスをメンテすればよい。パッケージはたとえばリリース前にトランケート(翻訳後の文字のはみ出しのこと)を目を皿にして細かくチェックする。開発サイクルはプラン/デザイン/インプリメント/スタビリゼーション/リリース。パッケージは1サイクルが長いものでは数年、クラウドはこのサイクルが短短期間で何度まわす。

Theme

ソフトウェアは巨大なのでモジュール/コンポーネント/フィーチャーのようにチャンクに分けて考えるのが普通。複数のチームで細かくわかれた部分を個別に開発していく。ほうっておくとそれぞれのチームが別の方向で開発が進んでしまい全体として整合がとれなくなる。そこでTheme(テーマ)が重要になってくる。簡潔でひと目でわかるテーマにすること。何十ページもあるドキュメントでは読まれなくなり意味がない。たとえば、国内で初めてワープロを作った森健一さん(⇒森さんとも2ショットで写真とったことあります♪)は、1手書きより早く、2どこでも、3アクセス(⇒データに?)できる、ことを設計思想=テーマに挙げ開発していた。チーム全体に必要なのは細かな規約ではなくて、ゆるやかなテーマが重要なのだ。我々は何のために開発しているのかをいつも身近に感じられるようにしておくこと。


(⇒本、「アイデアの力」の中でも明快で記憶に焼きつく言葉の重要さがででてきます。例えばサウスウェスト航空のテーマは「当社は最格安航空会社である」。サラダを追加で出す(コスト増)よりもアナウンスで楽しませる(コストなし)が重要視される。単に「お客様の満足を」というテーマを挙げていたら判断できないが、「当社は最格安航空会社である」というテーマに沿っているか否かだったらすぐに答えがでる。ある判断を迫られたときもテーマが明確なら瞬時に現場で判断ができ、結果としてよりよいサービスを顧客に提供できるのだと思う。)

プロダクトアウトとマーケットイン

プロダクトアウトは開発者が考え、よかれと思ってある意味ひとりよがりでつくりあげていくこと。マーケットインはユーザの声、マーケットの声を聞いて反映すること。マーケットインも注意が必要。妄信は危険。例えばテスターには多かれすくなかれインセンティブが働く。せっかくテストしにきたのだからなにかフィードバックしなくてはという思い込みが、本心ではなく無理やり作り出した意見を返してしまうことがある。テスター自身も無意識のうちに返してしまう。プロダクトアウトはローンチ、マーケットインはイテレイトに相当する。


マーケットリサーチはすでにマーケットが存在する場合にのみ有効だ。世にない新しいマーケットを開拓しようとしてリサーチしても意味がない。ソニーウォークマンを出そうとしたときオーディオマニアに聞いたところ音質もよくないものをわざわざほしいとは思わないという否定意見だった。マーケットがないときは試作をつくって使ってもらうのが一番速い。最近の日本の家電メーカーはこのようなことが少なくなってきているように感じるが。


今の顧客の意見のみ聞き続けると、イノベーションのジレンマに陥る。顧客の要望どおりに進んでいき一見安定しているようだかそのゆるやかなカーブは破壊的なイノベーションにある日とって変わられてしまう。今日のユーザのためでなく明日のユーザのための製品を作ることが大切だ。


プログラムも進化している。(及川さんは)BASICに始まりFORTRANからC、その他もろもろの言語を使ってきた。プログラム言語も実はユーザーの要望にしたがってさまざまに生まれ変化してきたものなのだ。

仮説と実証

科学者は仮説をたて実験で実証しそれをコツコツと積み重ねていく。ローンチ&イテレイトとも基本的考えは同じである。実はこの開発サイクルを社会にもいかせないかと考えている。


日本の人口推移予測のグラフがある、人口のピークはすぎ2050年には8000万人くらい。つまりこれから3000万人減っていく。たいていの未来予測はハズれるが、人口減だけは確実にやってくる。あまりにもゆるやかに進むので気づいたら減ってたということになりかねない。ちょっとたちどまって考え、今行動をおこさないと手遅れになるかもしれない。例えばバブルがはじけて数年で戻るよねと思っていたけれど結局ずるずる20年以上も停滞してる。

うまくいっていることはそのまま続き、悪くなってもすぐに戻ると人は思い込んでしまうけど、(今までどおりで)何がうまくいっていて、何がうまくいかないのかをきちんと見定めることが大切だ。
(⇒人口減は仮説でもなんでもなく確実にやってくる、それにむけた思考実験はとことんやってよりよい社会にしていけたらいいのだ、と解釈した)

市場競合

京都に人気にカプセルホテルがある。そのホテルの友人と話した。カプセルホテルの競合はタクシーだ。終電がなくなった、さてどうするというときに、タクシーで帰るのか、それともカプセルホテルに泊まるのか。その時、人が本当に求めていることは何か。安眠なのだ。ぐっすり眠れるかどうか。きっと、タクシーで帰るより安くて家で寝るのおなじくらいよく眠れるカプセルホテルがあったら使いたいはずだ。


昔の話だが、航空会社の競合は電話だった。もし、電話が全世界に普及し、いつでも会話できるようになったら飛行機に乗って出張する機会が激減するだろうと考えらていた。だから航空会社の競合は電話だったのだ。


ユーザが「本当」に求めていることは何かを考えぬくことが大切だ。競合のソフトウエアが新機能を追加したからといって、自分のソフトに同じ機能を単純に追加しても意味がない。なぜ競合ソフトはその機能を入れたのか?その機能を使うことでユーザはどう感じるか。遠回りかもしれないが本質を考えることでよりよい製品になってくものだ。


仕様書というよりデザインドキュメントというほうがしっくりくる。呼び名は大切だ。会議というよりディスカッションのほうがいい。ディスカッションなら議論して決定し次に進むことができる。会議は必要なときに集まればいい。定例会議も不要。ノーミーティングデー、ノーミーティングウイークをやってみているが会議がなくても何も問題なしだ。

不連続への挑戦

ただなんとなく続けていることを見直そう。先頭走者になろう。事例があるかどうかは関係ない、リスクをとって先頭で走ろう。「みんな来た道ばかり気にするけれど、本当は行き先のほうが大事なんだ」
不連続ということは、いままでどおりの心地いい場外から一歩はみ出してみること。安定してラクなことからノイズを加えてみることだ。


もし〜までにという締め切りを変えてみる。年単位が月単位、月単位が週単位、週単位が日単位にできないか考える。思考実験する。創造性は制約を好む(Creativity Loves Constraint)のだ。音楽家バッハも、avoid note(普通使わない音)を使うことで新しく変化のある旋律を生んでいる。


心地よさから飛び出して(Get out of the comfortable zone.)いこう。
見すぎたり、知りすぎると跳べないことがある。だから、見る前に翔ぼう、


Leap Before You Look


The sense of danger must not disappear:
The way is certainly both short and steep,
However gradual it looks from here;
Look if you like, but you will have to leap.


Tough-minded men get mushy in their sleep
And break the by-laws any fool can keep;
It is not the convention but the fear
That has a tendency to disappear.


The worried efforts of the busy heap,
The dirt, the imprecision, and the beer
Produce a few samrt wisecracke every year;
Laugh if you can, but you will have to leap.


The clothes that are considered right to wear
Will not be either sensible or cheap,
So long as we consent to live like sheep
And never mention those who disappear.


Much can be said for social savior-faire,
Bu to rejoice when no one else is there
Is even harder than it is to weep;
No one is watching, but you have to leap.


A solitude ten thousand fathoms deep
Sustains the bed on which we lie, my dear:
Although I love you, you will have to leap;
Our dream of safety has to disappear.

    • W. H. Auden